正答1
解説
正解は1です。
声を多く使う職業の若い女性が嗄声を訴えて受診した場面です。
喉頭内視鏡の所見と患者背景から疾患を推定します。
【図の所見】
喉頭を上から見た白黒の内視鏡像で、左右の声帯が白い帯状にV字形に並び、間に暗い声門が見えます。
画像は解像度が低く細部の判別は難しいものの、左右の声帯は対称的です。
腫瘍を思わせる不整な隆起や片側性の大きな腫瘤、声帯全長にわたる浮腫状の膨らみはみられません。
声帯結節では、声帯の前3分の1と中3分の1の境界付近に左右対称の小さな隆起がみられるのが典型です。
【選択肢別解説】
1:○ 声帯結節は、保育士・教師・歌手など声をよく使う人、特に若い女性や小児に多い疾患です。
声帯が最も強くぶつかる膜様部中央に両側対称性の小隆起ができ、嗄声を生じます。
所見の対称性と職業歴から最も考えられます。
2:× 声帯溝症は声帯の縁に沿って溝ができる疾患です。
声帯の閉鎖不全による気息性嗄声が特徴で、職業的な声の酷使との関連は結節ほど強くありません。
3:× 喉頭癌は高齢の喫煙男性に多く、片側の声帯に不整な隆起や白色病変がみられます。
20代女性の典型ではなく、所見も合いません。
4:× ポリープ様声帯は喫煙歴のある中年以降の女性に多く、声帯の全長が浮腫状に膨らんで低い声になります。
所見と年齢が合いません。
5:× 喉頭肉芽腫は声帯後方の声帯突起部にでき、胃食道逆流や気管挿管が原因になります。
声の酷使が多い20代女性という背景からは、声帯結節の方が考えやすいです。
【ポイント】
声帯結節は両側性・前中1/3境界、声帯ポリープは片側性、ポリープ様声帯は両側全長の浮腫と覚えましょう。
治療は声の衛生指導や音声治療が第一選択です。
【用語】
声帯溝症:声帯の粘膜に縦方向の溝ができ、声門が閉じにくくなって、かすれ声や息漏れを生じる疾患である。
ポリープ様声帯:声帯全体がむくんで膨らむ疾患で、喫煙や声の乱用が関係し、低くしわがれた声が特徴である。
喉頭肉芽腫:声帯後方の披裂部付近にできる肉芽の塊で、挿管や咳払い、胃食道逆流などが関係する。
嗄声:声がかすれたり、ざらついたりする状態で、声帯の振動や閉鎖の異常で起こる。
膜様部:声帯の前方の大部分を占め、振動して声を作る部分である。
声帯結節:声の酷使により、両側の声帯の前方3分の1付近に左右対称にできる小さな隆起である。