正答4
解説
正解は4です。
副咽頭間隙の腫瘍の手術後に嚥下障害と構音障害が生じた患者の、挺舌(舌を前に出したとき)の所見から麻痺した神経を判断する問題です。
副咽頭間隙の近くには舌咽神経・迷走神経・舌下神経などが走っており、手術で損傷されることがあります。
【図の読み取り】
図は開口して舌を前に突き出した状態の写真ですが、印刷が粗く、細部は判別しにくい画像です。
公式正答から読み取るべき所見は、挺舌時に舌先が患者の右側へ偏位していることです。
舌下神経が麻痺すると、麻痺側のオトガイ舌筋が働かず、健側の筋だけが舌を前に押し出すため、舌先は麻痺側へ偏ります。
【選択肢別解説】
1:× 左舌神経は麻痺している神経ではありません。
舌神経は三叉神経の枝で舌の前2/3の感覚を伝える神経であり、舌の運動には関与しないためです。
2:× 右舌神経は麻痺している神経ではありません。
感覚神経なので、障害されても挺舌時の偏位は生じません。
3:× 左舌下神経は麻痺している神経ではありません。
左舌下神経が麻痺すると、舌は右ではなく左に偏位します。
4:○ 右舌下神経が麻痺している神経です。
挺舌時に舌が右(麻痺側)へ偏位する所見と一致します。
5:× 左舌咽神経は麻痺している神経ではありません。
舌咽神経は舌の後ろ1/3の感覚と味覚、咽頭の感覚を担い、舌の運動には関与しないためです。
【ポイント】
舌下神経麻痺では「挺舌時は麻痺側に偏位し、麻痺側の舌が萎縮する」と覚えます。
舌下神経は核下性の麻痺では同側に、核上性(大脳の病変)では病巣と反対側に偏位する点も重要です。
【用語】
挺舌:舌を口の外へ突き出すことで、舌の麻痺の有無や偏位を見るのに用いる。
副咽頭間隙:咽頭の外側にある間隙で、舌咽神経や迷走神経、舌下神経などが通る。
舌下神経:第12脳神経で、舌の筋を動かす運動神経であり、障害されると舌が偏位する。
舌神経:舌の前3分の2の一般感覚を伝える神経で、舌の運動は支配しない。
オトガイ舌筋:舌を前方へ突き出す働きをもつ外舌筋で、舌下神経に支配される。