下図は、ある化合物の1H-NMRスペクトル(400 MHz、CDCl3、基準物質はテトラメチルシラン)を示したものであり、表は各シグナルの積分比を一覧にしたものである。
また、この化合物はIRスペクトルにて1770 cm^-1付近に強い吸収を示した。
この化合物の構造式として正しいのはどれか。
1つ選べ。
なお、×印のシグナルは水又はCDCl3中に含まれるCHCl3のプロトンに由来する。
(図:1H-NMRスペクトル。約7.0-7.2 ppmにエ・オのシグナル(拡大図あり)、約2.6-2.7 ppmにウのシグナル(拡大図あり)、約1.2-1.3 ppmにアのシグナル(拡大図あり)、約2.2 ppm付近にイのシグナル、約1.4 ppm付近に×印シグナル、それぞれ複数本線に分裂したピークとして図示。テキスト化困難なため図を参照。)
正答1
解説
正解は1。
IR 1770 cm⁻¹付近の強い吸収は芳香族エステル(フェニルエステル)に特徴的な高波数側のC=O伸縮振動である。
表の積分比(3:3:2:2:2)と芳香環部の2種類の二重線(各2H)はパラ二置換ベンゼンを示し、δ1.2〜1.3(3H、エチル基CH3)、δ2.2付近の大きな一重線(3H、アセチル基CH3)、δ2.6〜2.7(2H、ベンジル位CH2)、δ7.0〜7.2(各2H、芳香族H)という化学シフトパターンは4-エチルフェニル アセタート(H3C-CH2-C6H4-O-C(=O)-CH3)と矛盾なく一致する。
安息香酸メチルやメトキシ体(選択肢3・5)はδ3.8〜3.9付近にOCH3のシグナルを与えるはずだが表にはそれに対応する積分比がなく矛盾する。
選択肢4はカルボニル基をもたないためIR 1770 cm⁻¹付近の強い吸収を説明できず、δ1.2〜1.3に3Hを与えるエチル基のCH3ももたないため該当しない。