問212-213 35歳女性。
肺動脈性肺高血圧症のためにイロプロスト吸入液を使用していた。
しかし、仕事で出張が多くネブライザーを持ち歩いての使用に不都合があるため、下記の薬剤へ変更となった。
(処方)
ベラプロストナトリウム徐放錠60 μg 1回1錠(1日2錠)
1日2回 朝夕食後 14日分
問213(物理・化学・生物)
イロプロストやベラプロストナトリウムはプロスタグランジンI_2の構造をもとに開発された薬物である。
これらに関する記述のうち、最も適切なのはどれか。
2つ選べ。
[図: プロスタグランジンI_2、イロプロスト、ベラプロストナトリウムの構造式比較。プロスタグランジンI_2には酸素を含む部分構造a(環状エノールエーテル部分、点線円で囲まれ矢印で示される)があり、イロプロストではこの部分構造aの酸素原子が炭素原子に置換されシクロペンタン環となっている。ベラプロストナトリウムでは部分構造aに芳香環(ベンゼン環)が縮環し、カルボン酸部分がナトリウム塩(CO_2Na)になっている。]
正解を2つ選んでください。
正答3・5
解説
正解は3と5。
ベラプロストナトリウムはカルボン酸部分をナトリウム塩とすることで水溶性を高めている。
また天然のPGI2がもつ環状エノールエーテル構造(部分構造a)は酸性条件下で加水分解されやすく極めて不安定であるが、ベラプロストナトリウムでは部分構造aに芳香環を縮環させることでこの弱点を解消し化学的安定性を高めている。
ベラプロストナトリウムはPGI2そのものの構造類似体であってプロドラッグではなく、イロプロストにおける酸素→炭素置換もP450代謝耐性ではなく主に化学的(加水分解)安定性向上を目的とする。