70 歳の男性。
前頭側頭型認知症。
元来真面目な性格であった。
ここ数年は平気で他人の物を盗るようになり、注意されても意に介さなくなった。
また、些細なことで怒り出すため、対応に困った家族が主治医と相談し、デイケアに通所し、作業プログラムに参加することになった。
この患者への対応で適切なのはどれか。
2 つ選べ。
正解を2つ選んでください。
正答4・5
解説
正解は4と5です。
前頭側頭型認知症では、脱抑制、反社会的行動、易怒性、常同行動、注意の転導性がみられます。
一方で、記憶や視空間認知は比較的保たれます。
常同性を生かし、環境と手順を一定にする構造化した関わりが有効です。
【選択肢別解説】
1:× 前頭葉機能の低下により抽象的な思考が苦手になります。
指示は具体的で短く示す必要があります。
2:× 叱責は易怒性を誘発し、興奮や暴力につながるおそれがあります。
失敗しても責めず、うまくできる環境を整えます。
3:× 頻繁な席替えは環境の変化となり、混乱や不穏を招きます。
席は固定し、なじみの環境を保つことが大切です。
4:○ 道具を見やすい位置に置くと、注意がそれやすい患者でも作業に取りかかりやすくなります。
視覚的な手がかりで行動を導く構造化の一つです。
5:○ 決まった手順を繰り返す作業は、常同行動の傾向を生かして落ち着いて取り組めます。
手順を一定にすることで逸脱行動も減らせます。
【ポイント】
前頭側頭型認知症への対応は、環境の固定、日課の一定化、常同行動の活用が基本です。
Alzheimer型認知症と異なり、記憶障害よりも行動や人格の変化が前面に出ます。