70 歳の男性。
肺癌末期だが意識は清明で四肢筋力も保たれている。
感覚障害や四肢の浮腫もない。
最近徐々に嗄声が出現した。
原因として最も考えられるのはどれか。
正答1
解説
正解は1です。
嗄声(声のかすれ)は、声帯を動かす筋を支配する反回神経の障害でよく生じる症状です。
左反回神経は大動脈弓の下を回って上行するため、肺癌の縦隔への浸潤やリンパ節転移で圧迫されやすい経路をとります。
本例は四肢の筋力と感覚が保たれ、浮腫もありません。
したがって、嗄声だけを説明できる反回神経麻痺が最も考えられます。
【選択肢別解説】
1:○ 反回神経麻痺では声帯が動かなくなり、声門が閉じきらないため嗄声が生じます。
肺癌の縦隔浸潤やリンパ節転移でしばしば起こり、本例の経過と一致します。
2:× Raynaud現象は、寒冷や精神的緊張で手指の血管が収縮し、皮膚が白から紫、赤へと色を変える現象です。
嗄声の原因にはなりません。
3:× Pancoast腫瘍は肺尖部の癌で、腕神経叢や交感神経幹に浸潤します。
上肢の痛み・しびれ・筋力低下やHorner症候群が主な症状で、上肢に異常のない本例には合いません。
4:× 上大静脈症候群は、腫瘍が上大静脈を圧迫して、顔面・頸部・上肢のむくみと静脈の怒張が生じる病態です。
本例には浮腫がないため該当しません。
5:× Lambert-Eaton症候群は、主に小細胞肺癌に伴って起こる神経筋接合部の疾患です。
近位筋の筋力低下が主な症状で、四肢筋力が保たれた本例には合いません。
【ポイント】
肺癌の局所進展による症状として、反回神経麻痺(嗄声)、上大静脈症候群(顔面・上肢のむくみ)、Pancoast症候群(上肢痛・Horner症候群)を区別して覚えます。