36 歳の男性。
1 週前、バイク運転中に転倒し左前腕を打撲した。
その後、徐々に左手指の伸展が困難になった。
左上肢の MMT は肘関節屈曲が 5 、前腕回外が2 、手関節屈曲が 4 、手関節伸展が 4 、手指伸展が 1 。
左上肢の感覚障害は認めない。
針筋電図検査では回外筋、総指伸筋および長母指伸筋で安静時に脱神経電位を認めた。
障害されている神経はどれか。
正答4
解説
正解は4です。
前腕の打撲後、徐々に手指の伸展ができなくなった症例です。
肘関節屈曲は正常で、手関節伸展は4に保たれ、手指伸展が1と強く低下しています。
感覚障害はなく、回外筋・総指伸筋・長母指伸筋に脱神経電位を認めます。
これらの筋を支配し、感覚線維を含まない神経は、橈骨神経の深枝である後骨間神経です。
【選択肢別解説】
1:× 尺骨神経の障害では、骨間筋や小指球筋の筋力低下と、環指尺側・小指の感覚障害が出ます。
手指伸筋群は尺骨神経の支配ではありません。
2:× 正中神経の障害では、母指球筋の萎縮や母指から環指橈側の感覚障害が出ます。
手指の伸展障害は起こりません。
3:× 橈骨神経の本幹が障害されると、長橈側手根伸筋も麻痺して手関節が伸展できない下垂手になります。
さらに手背の橈側に感覚障害も出ます。
本症例は手関節伸展が保たれ、感覚障害もないため、本幹の障害ではありません。
4:○ 後骨間神経は、回外筋を貫いたあとに総指伸筋・長母指伸筋・尺側手根伸筋などを支配する運動神経です。
長橈側手根伸筋は分岐より近位で支配されるため、手関節伸展は保たれます。
指が伸ばせない「下垂指」となり、感覚障害を伴わない点が本症例と一致します。
5:× 前骨間神経は正中神経の枝で、長母指屈筋や示指・中指の深指屈筋などを支配します。
障害されると母指と示指で丸い形がつくれなくなり、手指の伸展障害は起こりません。
【ポイント】
下垂手は橈骨神経本幹、下垂指は後骨間神経の障害です。
後骨間神経麻痺では、手関節伸展時に手が橈側へ偏位することも特徴です。