58歳の男性。
歩行時のふらつきを訴えて受診した。
歩隔はやや広いが左右方向は安定しており、前後方向への振り子様の歩容がみられる。
検査結果を表に示す。
協調運動改善のための理学療法として適切なのはどれか。
正答2
解説
正解は2です。
表では注視方向性眼振、構音障害、鼻指鼻試験での測定異常があり、関節位置覚障害とRomberg徴候はありません。
深部感覚は保たれており、小脳性運動失調と考えられます。
前後方向への振り子様の歩容は、体幹・近位部の安定性の低下を示します。
【選択肢別解説】
1:× 自転車エルゴメーターによるペダリング運動は、主に持久力の向上に用います。
協調運動の改善を主目的とした治療ではありません。
2:○ rhythmic stabilizationは、固有受容性神経筋促通法(PNF)の手技です。
拮抗筋の等尺性収縮を交互に促して同時収縮を高め、体幹や近位関節の安定性を改善するため、小脳性運動失調に適しています。
3:× 下肢筋群の持続的伸張は、痙縮の抑制や関節可動域の改善に用います。
本例に痙縮の所見はなく、協調運動の改善には結びつきません。
4:× Frenkel体操は、視覚で運動を確認しながら行う協調性練習です。
深部感覚障害による脊髄性運動失調に特に有効で、深部感覚が保たれた本例では第一選択ではありません。
5:× Epley法は、良性発作性頭位めまい症に対する頭位変換による治療です。
本例は小脳症状がそろっており、Epley法の対象ではありません。
【ポイント】
Romberg徴候陰性で眼振・構音障害がそろえば小脳性、Romberg徴候陽性で深部感覚障害があれば脊髄性(感覚性)の運動失調です。
小脳性にはPNFや重錘負荷・弾性緊縛帯、感覚性にはFrenkel体操が代表的です。