55 歳の男性。
突然のめまいを自覚し、歩行困難を呈したため搬送された。
頭部 MRI の T1 強調像(別冊 No. 1)を別に示す。
みられる所見はどれか。
正答5
解説
正解は5です。
T1強調像では橋背側(被蓋部)の正中やや右寄りに、境界明瞭な高信号域がみられます。
後方には第四脳室、両側に小脳半球が写っており、橋レベルの断面です。
T1強調像で高信号となる急性〜亜急性期の出血と考えられ、突然のめまいと歩行困難の経過とも合います。
【選択肢別解説】
1:× JCS Ⅲ-100 は、痛み刺激に対して払いのける程度の昏睡に近い状態です。
病変は小さく、本人がめまいを自覚して搬送されていることからも、この意識レベルは考えにくいです。
2:× 顔面の痛覚を伝える三叉神経の脊髄路と核は、橋や延髄の外側部にあります。
本例の病変は正中寄りの被蓋にあり、これらの構造からは離れています。
また三叉神経の核や脊髄路が障害されると、顔面の感覚低下は病巣と同じ右側に出ます。
このため、左顔面の痛覚低下は本例で考えられる所見ではありません。
3:× 小脳への連絡路(中小脳脚など)の障害による失調は病変と同じ側に出ます。
右病変では右上下肢の小脳失調となり、左上肢ではありません。
4:× 錐体路は橋の腹側(橋底部)を通るため、背側の病変では運動麻痺は目立ちません。
また、錐体路障害が起きても麻痺は反対側(左)に出ます。
5:○ 深部感覚を伝える内側毛帯は延髄で交叉した後、橋被蓋を上行します。
ここが右側で障害されると、反対側である左半身の深部感覚が低下します。
【ポイント】
脳幹病変では「脳神経症状と小脳症状は同側、長経路(錐体路・感覚路)の症状は対側」と整理します。
T1強調像で高信号を示す脳病変として、亜急性期の出血が代表的です。