Aさん(91歳、女性、要支援2)は、長年診療所の医師として地域医療に貢献してきた。
婚姻歴はなく、診療所敷地内の自宅で3匹の猫と暮らしている。
85歳で医師を引退した後も、近隣にはAさんを慕う地域住民が多く、定期的に、「先生、元気にしてますか」とAさんの自宅を訪ねている。
Aさんは昨年から歩行の不安を訴え、現在は地域住民の見守りのほか、訪問型サービスを週2回利用している。
人の世話になることに慣れていない様子もあるが、最期まで自宅で暮らすことを望んでいる。
次の記述のうち、Aさんの生活史を尊重した訪問介護員(ホームヘルパー)の声かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
正答2
解説
正解は2です。
利用者の生活史を尊重した声かけを選ぶ問題です。
事例では、Aさんは「長年診療所の医師として地域医療に貢献」し、今も「Aさんを慕う地域住民が多く」、「最期まで自宅で暮らすことを望んでいる」と書かれています。
【選択肢別解説】
1:× 猫と暮らすことは、Aさんの現在の生活の一部です。
本人の希望を確かめずに猫を手放すよう勧めることは、生活史を軽視しています。
2:○ Aさんが地域で築いてきた人間関係を生かし、住み慣れた場所での生活を続ける提案です。
「最期まで自宅で暮らしたい」という意向にも沿っています。
3:× Aさんは「人の世話になることに慣れていない」様子があります。
慣れるよう求める言葉は、本人の気持ちを受け止めておらず、心理的な負担を増やします。
4:× 医師として生きてきたことは、Aさんの誇りであり、アイデンティティの中心です。
それを忘れるよう求めることは、生活史を否定することになります。
5:× 不安を決めつける声かけは、自宅で最期を迎えたいという本人の意思を揺るがせます。
本人の思いを前向きに支える声かけが求められます。
【ポイント】
生活史の尊重とは、本人が大切にしてきた役割・人間関係・暮らし方を、今後の生活に生かすことです。
過去を否定したり、介護者の都合で生活を変えたりする声かけは避けます。