〔事例〕
Cさん(90歳、女性)は、動物好きで長年ペットのオウムを飼っている。
5年前に夫が亡くなったときも、ペットが大きな心の支えになった。
2年前、身体の衰えから買物や調理などの家事が難しくなり、一人暮らしが困難になったので、ペットと入所できる健康型有料老人ホームに入所した。
最近Cさんは、毎週楽しみにしていたレクリエーションがある曜日や時間を忘れてしまう、トイレの場所がわからず失禁するなどの症状が繰り返し生じるようになってきた。
心配した娘がCさんと病院を受診したところ、アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)と診断を受けた。
健康型有料老人ホームでは対応が困難になってきたため、心配した娘はCさんが入所できる施設に移ることを検討し始めた。
娘はCさんの病状を心配して、「お父さんが残してくれた貯金があるから、もっとお母さんのお世話をしてくれる施設に移ろう」と提案した。
Cさんは、「ペットと一緒に暮らせなくなるのは嫌だ」とつぶやき、うつむいた。
困った娘は健康型有料老人ホームの介護福祉士に相談した。
次のうち、娘への介護福祉士の応答として、最も適切なものを1つ選びなさい。
正答1
解説
正解は1です。
Cさんは長年オウムを飼っており、夫を亡くしたときもペットが心の支えになっていました。
娘の提案に対して「ペットと一緒に暮らせなくなるのは嫌だ」とつぶやき、うつむいています。
認知症があっても、本人の意思を尊重することが基本です。
【選択肢別解説】
1:○ Cさんにとってペットは心の支えであり、一緒に暮らしたいという意思が示されています。
その意思を尊重するよう娘に提案することは、本人中心の支援として最も適切です。
2:× 新しい施設への移行を最優先とする応答は、Cさんの「ペットと暮らしたい」という意思を考慮していません。
3:× 娘の意向を優先するよう勧めると、Cさん本人の意思が置き去りになります。
4:× ペットは、夫を亡くしたときにも心の支えとなった大切な存在です。
優先度が低いと決めつけるのは、Cさんの生活歴や思いを無視しています。
5:× 本人を説得するよう求めるのは、Cさんの意思に反する方向へ誘導することになり、適切ではありません。
【ポイント】
認知症の人の意思決定支援では、本人の言葉や表情から意思をくみ取り、尊重します。
家族の不安も受け止めながら、本人の意思と安全を両立できる方法を一緒に考えます。