〔事例〕
Eさん(34歳、女性、障害支援区分3)は、特別支援学校の高等部を卒業後、週2回、生活介護を利用しながら自宅で生活している。
Eさんはアテトーゼ型(athetosis)の脳性麻痺(cerebral palsy)で不随意運動があり、首を振る動作が見られる。
食事は首の動きに合わせて、自助具を使って食べている。
食事中は不随意運動が強く、食事が終わると、「首が痛い、しびれる」と言ってベッドに横になるときがある。
また、お茶を飲むときは取っ手つきのコップで飲んでいるが、コップを口元に運ぶまでにお茶がこぼれるようになってきた。
日頃から自分のことは自分でやりたいと考えていて、お茶が上手に飲めなくなってきたことを気にしている。
Eさんは、生活介護事業所で油絵を描くことを楽しみにしている。
以前から隣町の油絵教室に通い技術を高めたいと話していた。
そこでEさんは、「自宅から油絵教室に通うときの介助をお願いするにはどうしたらよいか」と介護福祉職に相談した。
Eさんの食事の様子から、今後、引き起こされる可能性が高いと考えられる二次障害として、最も適切なものを1つ選びなさい。
正答5
解説
正解は5です。
アテトーゼ型脳性麻痺の人に起こりやすい二次障害を問う事例問題です。
Eさんには「首を振る動作」の不随意運動があり、食事のあとに「首が痛い、しびれる」と訴えています。
【選択肢別解説】
1:× 変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減って痛みが出る病気です。
Eさんの訴えは首の痛みとしびれであり、股関節の症状はみられません。
2:× 廃用症候群は、体を動かさない状態が続いて心身の機能が低下するものです。
Eさんは不随意運動で常に体が動いており、生活介護に通って活動もしています。
3:× 起立性低血圧は、寝た姿勢から急に起き上がったときに血圧が下がり、めまいなどが起こるものです。
食事中の首の動きとは関係しません。
4:× 脊柱側弯症は、背骨が左右に曲がる変形です。
脳性麻痺で起こることがありますが、Eさんの首の痛みとしびれという症状からは、頸椎の障害が考えられます。
5:○ アテトーゼ型脳性麻痺では、首の不随意運動が長年続くことで頸椎に負担がかかり、骨や椎間板が変形しやすくなります。
その結果、脊髄が圧迫されて首の痛みや手のしびれが起こる頚椎症性脊髄症は、代表的な二次障害です。
【ポイント】
頚椎症性脊髄症が進むと、手のしびれや細かい動作の障害、歩行障害などが現れます。
Eさんのコップを口元に運ぶまでにお茶がこぼれるようになった変化も、上肢の機能低下の表れの可能性があります。