20歳の男性。
2週前から右肩部後面の痛みと脱力感を自覚し、症状が軽快しないため来所した。
棘下筋は萎縮し外旋筋力が低下しているが、棘上筋の筋力は保たれている。
写真(別冊No.3)の★印で示した部分にしこりを触知する。
考えられるのはどれか。
正答1
解説
正解は1です。
写真は上半身を後方から見たもので、★印は右肩後面の外側上部、肩甲骨の関節窩の後方にあたる部位に付けられています。
この部位の深部には、肩甲上神経が棘上窩から棘下窩へ回り込む棘窩切痕があります。
棘下筋だけが萎縮し棘上筋が保たれている所見と、★印の部位のしこりを合わせて判断します。
【選択肢別解説】
1:○ 肩甲上神経絞扼障害が考えられます。
棘窩切痕でガングリオンなどのしこりが肩甲上神経を圧迫すると、それより末梢の棘下筋枝だけが障害されます。
そのため棘下筋の萎縮と外旋筋力低下が生じ、棘上筋の筋力は保たれます。
2:× 腱板断裂は考えにくいです。
腱板断裂は棘上筋腱に多く外転筋力が低下しますが、本症例では棘上筋の筋力が保たれ、しこりの存在も説明できません。
3:× SLAP損傷は考えにくいです。
SLAP損傷は上腕二頭筋長頭腱が付着する上方関節唇の損傷で、投球時の痛みや引っかかり感が主症状であり、それだけでは棘下筋の萎縮は生じません。
4:× ベネット損傷は考えにくいです。
ベネット損傷は関節窩後下縁の骨棘で投球時の肩後方の痛みが生じますが、棘下筋の萎縮や外旋筋力低下の原因にはなりません。
【ポイント】
肩甲上神経が肩甲切痕で絞扼されると棘上筋と棘下筋の両方が、棘窩切痕で絞扼されると棘下筋だけが障害されます。
バレーボールのスパイク動作などでも、棘下筋単独の萎縮が生じることが知られています。