A さん(19 歳、初妊婦、派遣労働者)は夫(24 歳、無職)と 2 人暮らし。
A さんは妊娠 8 週 3 日で妊娠の届出のために市役所に来所した。
昨年の世帯収入は 250 万円であった。
A さんは市の助産師に「夫は前の職場で人間関係がうまくいかず、うつ状態になり、今も仕事をしていません。これまでは私の収入で生活できていましたが、両親とは疎遠でこれからかかるお金のことが心配です」と話した。
A さんは妊娠 37 週、2,420 g の女児を正常分娩で出産した。
産後の血圧は安定していたため、産後 5 日に退院し、児は日齢 14 に 2,560 g で退院した。
産後 2 週の産婦健康診査でエジンバラ産後うつ病質問紙票〈EPDS〉が 10 点だったと病院から市に連絡があったため、産後 20 日に市から委託を受けた助産師が訪問した。
児は体重 2,740 g で健康状態は良好であった。
A さんは「夫と一緒に育児をしていますがうまくできません。不安が大きいですし、睡眠不足でとても疲れています」と泣きそうな表情で話した。
助産師の対応で最も適切なのはどれか。
正答4
解説
正解は4です。
Aさんは産後2週のEPDS(エジンバラ産後うつ病質問紙票)が10点で、日本で用いられる区分点の9点以上にあたります。
不安や睡眠不足、疲労を涙ぐみながら訴えており、両親とは疎遠で、夫はうつ状態で無職です。
若年で経済的にも困窮しており、母子に継続した支援が必要な状況です。
【選択肢別解説】
1:× 子育て中の母親との交流を勧めるのは、現時点で最も適切な対応ではありません。
産後うつ病が疑われる状態では、まず専門的な支援につなぐことが優先されます。
2:× 両親に支援を依頼するよう勧めるのは適切ではありません。
Aさんは両親と疎遠であり、実現が難しい提案は負担を増やします。
3:× ファミリーサポートセンターの紹介は、育児の手助けとして有用ですが、最優先ではありません。
抑うつの評価や継続的な見守りを含めた支援体制が先に必要です。
4:○ 要支援児童等と思われる者であることを市に情報提供するのが最も適切です。
児童福祉法では、支援を要する妊婦や児童を把握した医療機関や助産師などは、市町村に情報を提供するよう努めることとされています。
市が把握することで、保健師の継続訪問や精神科医療、子育て支援サービスなどにつなげられます。
【ポイント】
EPDSは産後うつ病のスクリーニング票で、9点以上の場合は面接による評価や専門職による支援を行います。
要支援児童等の情報提供は、本人の同意がなくても守秘義務違反にはあたらないとされています。