10歳の女児。
難聴を主訴に受診した。
眼科にて視野異常を指摘されている。
純音聴力検査で最重度難聴を示したが、後ろから話しかけると適切に応答することができる。
必要な検査はどれか。
正答1
解説
正解は1です。
純音聴力検査では最重度難聴なのに、後ろから話しかけると適切に応答できる10歳の女児です。
検査結果と実際の聞こえが合わないことから、機能性難聴(心因性難聴)が疑われます。
小児に多く、視野の異常(視野が狭くなるなど)を伴うこともあります。
【選択肢別解説】
1:○ 聴性脳幹反応(ABR)は、本人の応答を必要としない他覚的な聴力検査です。
実際の聴力を客観的に推定できるので、機能性難聴の診断に必要です。
2:× SISI検査は、補充現象を調べる検査で、本人の応答が必要です。
機能性難聴の診断には役立ちません。
3:× 語音弁別検査も、本人の応答に基づく自覚的な検査です。
応答が信頼できない本例では、実際の聴力を評価できません。
4:× 実際の聴力は保たれていると考えられるため、補聴器の適合検査は必要ありません。
5:× UCL(不快閾値)検査は、うるさくて不快に感じる音の大きさを調べる検査です。
補聴器の出力の調整などに使うもので、本例には必要ありません。
【ポイント】
本人の応答を必要としない他覚的聴力検査には、ABR、ASSR、耳音響放射(OAE)、アブミ骨筋反射があります。
【用語】
聴性脳幹反応検査:音刺激による脳幹の電気的な反応を記録し、聴覚路の機能を調べる他覚的検査である。
SISI検査:音の強さのわずかな変化を聞き分けられるかを調べる検査で、補充現象の有無の推定に使う。
語音弁別検査:語音をどの程度正しく聞き取れるかを調べる検査である。
UCL検査:不快閾値検査のことで、音が不快に感じる大きさを調べる検査である。
補聴器適合検査:補聴器を使用した状態で、聞こえの改善の程度を評価する検査である。
機能性難聴:聴覚路に器質的な異常がないのに聴力検査で難聴を示す状態で、心因性難聴を含む。