正答4
解説
正解は4です。
両唇鼻音[m]の音響的な特徴を問う問題です。
[m]は口唇を閉じたまま軟口蓋を下げ、声帯振動による音を鼻腔に通して出す音です。
この問題は誤っているものを選ぶので、○ が答えです。
【選択肢別解説】
1:× アンチホルマントが存在することは正しいです。
閉じた口腔が鼻腔からの分岐となり、特定の周波数のエネルギーを打ち消すためです。
2:× 鼻音ホルマントが存在することは正しいです。
咽頭と鼻腔の共鳴により、低い周波数帯に強い共鳴が現れます。
3:× 口腔の共鳴特性が関与することは正しいです。
閉鎖された口腔の長さがアンチホルマントの周波数を決め、[m]・[n]・[ŋ]の違いにつながります。
4:○ 鼻孔と口唇から音声波が放射されるという記述は誤りです。
[m]では口唇が閉じているため、音声波は鼻孔からのみ放射されます。
5:× 音源が声門だけに存在することは正しいです。
[m]は有声音で、口腔内に摩擦や破裂などの音源はありません。
【ポイント】
鼻音は「鼻音ホルマント(低い周波数)」と「アンチホルマント」の両方をもつことが特徴です。
[m]・[n]・[ŋ]は口腔の閉鎖位置が異なるため、アンチホルマントの周波数が異なります。
【用語】
アンチホルマント:スペクトルの中で、特定の周波数付近のエネルギーが弱まる谷のことで、鼻音などでみられる。
鼻音ホルマント:鼻腔の共鳴によって生じる、鼻音に特有の低い周波数のホルマントである。
ホルマント:声道の共鳴によってできる、スペクトル上でエネルギーが強まる周波数帯である。